焼き菓子のおもしろさのひとつは、それぞれが持つヒストリー。今回井上シェフが紹介してくれたこの"スイス"(400円)もそんなお菓子のひとつです。フランス・ローヌ地方での修業時代、町のいたるところで見かけたこのお菓子は、スイスとの国境に立つ護衛をかたどったもの。オレンジピールとレモンの皮を混ぜ込み、低めの温度でじっくりしっかり焼き込んだお菓子は、しっかりとした歯ごたえにフルーツのさわやかな風味が印象的。「本当は型があるんですが、うちでは厚紙で型を起こして作っているんです。ひとつひとつの表情が違うのもいいでしょう?」と、井上シェフ。ヨーロッパの家庭で愛されてきた、焼き菓子の手作りの温かさが伝わってきます。